YouTubeの動画でも、何本か、女王蜂の交代だとか、更新にまつわる話をしている。
私は、「全滅群からしかハチミツを採らない」とか、「ミツバチの自然な生き方を見たい」とか公言しているので、単に、ミツバチの生態に尋常じゃない興味を持ってる変わり者ゆえに、こんなことを飽きもせず、観察してるんだろうと思っている人も多いかもしれない。
まあ、たしかに、ミツバチの暮らしを観察するのは、ただそれだけで楽しい。
けれど、もうひとつ、私としては、現在普及している日本での、とくに日本ミツバチの飼い方というか、扱い方を、なんとかしたいという気持ちが、本当に、強くある。
あまりにも、ミツバチの生き方を無視した扱いが、ふつうに行われていると思う。
「そんなことしたら、ミツバチが弱っていくのは当たり前」
みたいなことを、何のためらいもなく、笑顔で、おおっぴらにやっている。
その「ミツバチが弱ってしまう扱い」だが、ハチミツを取り上げるという話については、けっこう、だれでも、自覚があるというか、思い当たる節があるという顔をする。
けれど、他にも、いろいろある!
そのうちのひとつが、「女王蜂の更新(交代)」と関係している。

ミツバチの群れにとって、女王蜂がどれほど大切なものかは、ミツバチを飼っている人なら、だれでもわかると思うのだが、やってることはメチャクチャだ。
捕獲した分蜂球を巣箱に入れたあと、逃げられたらマズいからと、女王蜂の逃走防止の器具を付けたりするのは、その一例だろう。
新女王の群れが分蜂した場合、巣箱に収めると、たいてい翌日から、交尾飛行へ出かける。天候などで変わるが、3日間、出かけていく。巣門に器具を取り付けて、巣箱に女王蜂を監禁してしまったら、この3日間のチャンスを(いくらかでも)失う。
女王蜂の交尾に適した「旬」は短い。1日1日が貴重だ。女王蜂の産卵の良し悪し、つまり、交尾飛行が満足のいくものに終わったかどうかは、その後の群れの健全さに、モロに影響してしまう。
また、新女王の分蜂球を取り込んだ巣箱の設置場所についても、もっと気を使わないといけないと思う。巣箱を置く場所によっては、女王蜂が交尾飛行から帰ってこられる確率がぐっと低くなってしまう。女王蜂が迷うだけじゃなく、エスコートする働き蜂が混乱しやすいとか、そういうことも関係していると思われる。
女王蜂が交尾飛行から帰ってこなかったら、日本ミツバチは、数日後には働き蜂産卵を始める。雄蜂を育てながら、3か月くらいかけて、その群れは徐々にミツバチの数を減らし、消滅していく。
そういうわけで、女王蜂が「真の女王蜂(交尾済み女王)」になるタイミングというのは、私たちが思っている以上に、とってもとっても繊細で、腫れ物に触るどころじゃなくて、触ってはいけないほどのものなのだ。
だれも、わざと「ミツバチが弱ってしまう扱い」をしているわけではないと信じたい。
ミツバチいじめの飼い方を、知らず知らずのうちにしてしまうのは、日本ミツバチが、
- どんな生き方をしているのか?
- どんな行動を、何のためにしているのか?
といったことに興味を持つ人が、そんなに多くはいないからだろう。
たとえ興味があったとしても、案外、昆虫の生き方の観察は難しく、どこから見ていけばいいのか、検討さえつかないというところもある。とくにミツバチは、「ハチミツを採るため」という目線での飼い方や観察の情報が、あまりにも広まってしまっている。
私が、女王蜂の交代(更新)なんかを、しつこく観察しているのも、これがミツバチの「なんでもない日常」を知るための、ひとつの取っ掛かりとして、とても面白いテーマだからだ。
ミツバチだって生きている!
このことが、腹の底からわかれば、ミツバチの飼い方も、自然と変わってくるだろう。